皮膚トラブルへの亜鉛が果たす役割について
こんにちは。
今回は、亜鉛と皮膚の関係性をテーマにして、生化学的な背景とともに、亜鉛を摂取することの重要性をお話しします。
みなさんは、体内で亜鉛が不足すると、味覚障害が起こることはご存知でしょうか?
舌の表面には、味覚を感じるセンサーである味蕾という器官があり、亜鉛はその味蕾の再生に関わる重要な栄養素なのです。
亜鉛が不足することで、味蕾の再生周期が遅れると食べ物の味を感じにくくなったり、味の変化を感じるようになります。
また、亜鉛は味覚だけではなく皮膚の健康や修復にも深く関わっているミネラルです。
亜鉛が不足すると、皮膚の乾燥や炎症が起こりやすくなるため、皮膚のトラブルが生じる可能性があります。
特に、アトピー性皮膚炎を持つ方には、亜鉛は必要不可欠な栄養素と言えます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のタンパク質やセラミド不足により皮膚のバリア機能が低下し、異物やアレルゲンが体内に侵入して炎症が起こる疾患です。
外部からの刺激が皮膚の内部へ侵入しやすくなり、少しの刺激で強いかゆみが生じて、湿疹や乾燥、落屑(らくせつ)をもたらします。
正常な皮膚では、皮膚に存在するランゲルハンス細胞という免疫細胞が、アレルゲンや異物を検出すると即座に免疫反応を引き起こしてアレルゲンの侵入をブロックしてくれます。
しかし、アトピー性皮膚炎を患うとランゲルハンス細胞が皮膚の角質層まで伸びてきてしまい、過剰な免疫反応を引き起こします。
それによって、皮膚のかゆみや炎症を引き起こし、耐えられずに皮膚を掻いてしまい、さらなる症状の悪化につながってしまうのです。
皮膚の健康を保つには、ターンオーバーと呼ばれる新陳代謝のプロセスを理解することが非常に重要で、亜鉛は必要不可欠な存在です。
皮膚は、およそ28日で新しい細胞に入れ替わりますが、このプロセスを支えているのが細胞分裂であり、その鍵となるのが亜鉛です。
亜鉛は、DNAポリメラーゼという酵素の構成要素で、DNAの複製やRNAの合成に関与しています。
DNAポリメラーゼは、細胞が分裂する際のDNA複製をサポートします。
また、亜鉛を含むジンクフィンガーと言うタンパク質が、DNAと結合して細胞分裂を調整することで、皮膚細胞が正常に増殖して新しい皮膚が形成されます。
しかし、亜鉛不足によって細胞分裂のプロセスが正常に進まなくなると、ターンオーバーが乱れて肌の健康が損なわれることになります。
アレルゲンの侵入をブロックしているのは、皮膚の免疫細胞の他にもSODと言う酵素も活躍しています。
皮膚の免疫細胞がアレルゲンに反応すると、活性酸素を大量に放出して炎症を引き起こしますが、SODには活性酸素を消去してくれる働きがあるのです。
SODは、亜鉛を補因子として利用しているため、亜鉛が不足すると、SOD酵素の機能が低下して炎症が制御されにくくなります。
そのため、適切な亜鉛摂取は炎症制御の機能も促進してくれるのです。
このため、亜鉛は抗炎症ミネラルと呼ばれアトピー性皮膚炎の症状軽減にも大いに役立つと言われています。
亜鉛は、皮膚の免疫機能を維持したり、皮膚細胞を増やすために重要な役割を果たす栄養素であるため、食事から効率よく摂取することが重要です。
亜鉛を豊富に含んでいる食材の代表には、生牡蠣があります。
生牡蠣には、1日に必要な摂取量をほとんど満たすほどの亜鉛が含まれているため、「亜鉛の王様」と呼ばれているほど優秀な食材です。
他にも、牛肉や豚肉といった赤身肉や、カニ、エビ、ホタテなとの魚介類、卵の卵黄にも亜鉛が豊富に含まれているため、日々の食事にバランスよく取り入れることが推奨されます。
また、豆類やナッツ類にも亜鉛は含まれていますが、植物性食品に含まれているフィチン酸という物質には亜鉛の吸収を妨げる働きがあるので、動物性食品からの摂取がもっとも効果的な方法だと言えるでしょう。
食事からの摂取だけでは難しい場合は、ピコリン酸亜鉛やグルコン酸亜鉛などの吸収率の高いサプリメントを利用することも一つの手段です。
ピコリン酸亜鉛の特徴は、腸で吸収しやすいように作られていることです。
効率的に体内へ吸収されるので、アトピー性皮膚炎の改善や予防を目的にする場合は、ピコリン酸亜鉛の摂取が最も適しています。
グルコン酸亜鉛も吸収率が比較的高く、穏やかに体内に吸収されて消化器にも優しいので、長期的に摂取する方に向いています。
ただし、長期間の亜鉛サプリメントの高容量摂取は銅欠乏症を引き起こすリスクもあるため、適切な指導のもと摂取することをおすすめします。
また、亜鉛の効果を高めるためには、ビタミンB6やビタミンC、オメガ3脂肪酸なども合わせて摂取することも重要です。
ビタミンB6は、亜鉛の働きをサポートして、炎症の抑制が期待できます。
ビタミンCにはコラーゲンの生成を促進して皮膚の健康を維持し、亜鉛の吸収を助ける働きがあります。
EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸には、体内の炎症を抑制してアトピー症状を軽減する働きがあります。
亜鉛の摂取は、肌の健康改善への第一歩であり、長期的な皮膚のケアとしても非常に有効です。
亜鉛をはじめとした栄養素をバランスよく取り入れながら、健康的な肌を目指しましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
