酸化ストレスから体を守るには?
こんにちは。
今回は、抗酸化のメカニズムについてお話しします。
体内の酸化を無害化するために、私たちの体には抗酸化という優れた仕組みが備わっています。
しかし、食生活や生活環境によって体内のバランスが崩れてしまうと酸化を早めてしまう酸化ストレスという状態に陥り、老化を早めたり生活習慣病のリスクを高めてしまったりします。
私たちの体の中で、活性酸素が発生する主な場所はミトコンドリアです。
ミトコンドリアは、細胞のエネルギー工場と呼ばれています。
しかし、エネルギーを作る過程で酸素の2〜5%が不完全に処理されます。
その結果、活性酸素として体内に漏れ出てしまうのです。
活性酸素には主に4種類あります。
最初に作り出されるスーパーオキシドは、比較的反応は低いものの他の活性酸素を作りだす元になります。
過酸化水素は細胞膜を通り抜けるため、広範囲に影響を与えます。
ヒドロキシルラジカルは最も反応性が高く、DNAや脂質、タンパク質などを瞬時に損傷してしまいます。
そして、紫外線によって生成される一重項酸素(いちじゅうこうさんそ)は、細胞膜の脂質を強力に酸化させます。
これらの活性酸素は、あたかも電子を盗み出す泥棒のような働きをします。
接触した生体分子から電子を奪い取るこのプロセスが、「酸化」と呼ばれるものです。
細胞膜の脂質が酸化すると脂質過酸化が起こり、有害物質が生成されて細胞膜の機能が低下してしまいます。
これは細胞が古くなった状態、つまり老化プロセスの一部であるといえるでしょう。
タンパク質が酸化すると構造に異常が生じて、酵素の働きが低下したり、細胞間の情報伝達に異常が起こることがあります。
DNAが酸化されると、遺伝子の基本構造が修飾されて、突然変異や遺伝子の発現異常によるがんリスクが高まることになります。
実際に、酸化で損傷したDNAの存在ががんのリスクと関連していることも研究で示されています。
ですが、幸いなことに私たちの体には、活性酸素から身を守るシステムが備わっています。
まず、抗酸化酵素と呼ばれる特別な酵素があります。
SOD酵素は、スーパーオキシドを過酸化水素に変換して活性酸素の連鎖反応を防いでくれます。
カタラーゼ酵素は過酸化水素を無害な水と酸素に分解して細胞を保護します。
グルタチオンペルオキシダーゼ酵素は、グルタチオンを利用して過酸化水素を無害化します。
また、抗酸化物質も非常に重要な役割を果たしています。
グルタチオンは、3つのアミノ酸から作られる最重要細胞内抗酸化物質と言えるでしょう。
ビタミンCは水に溶ける抗酸化物質で、ビタミンEの働きを助けます。
ビタミンEは脂溶性の抗酸化物質で、細胞膜における脂質の過酸化を防いでいます。
ポリフェノールは植物由来の抗酸化物質で、直接的な抗酸化作用と抗酸化酵素を増やすという二つの効果を持っています。
加えて、とても興味深いものにNRF2というタンパク質の存在があります。
これは、抗酸化マスタースイッチとも呼ばれており、普段はKeep1と言うタンパク質によって働きを抑えられています。
しかし、酸化ストレスを感知すると細胞の核に移動して、抗酸化反応エレメントと呼ばれるDNA領域に結合します。
この結果、グルタチオン合成酵素や解毒酵素など体を守る酵素の生産が増加することになります。
ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンという成分は、このNRF2を活性化する働きを持っていることもわかっています。
実際の臨床研究では、スルフォラファンを3〜5日間摂取すると解毒酵素の活性が約2倍に上昇することが確認されました。
それでは、日常生活で実践できる酸化対策についてお話しします。
抗酸化食品を日常的に摂取することは、とても重要になってきます。
ブルーベリーやラズベリーなどのベリー類には、アントシアニンなどのポリフェノールが豊富に含まれているため、脳の機能を保護してくれます。
ケールやほうれん草、ブロッコリーなどの暗緑色野菜には、ルテインやゼアキサンチン、ビタミンCなどが豊富で、目の健康やDNA保護に役立ちます。
トマト、にんじん、柑橘類などのカラフルな野菜や果物にはリコピン・ベータカロテン・ビタミンCが含まれ、複合的な抗酸化作用があります。
くるみやアーモンドなどのナッツ類にはビタミンE・セレン・ポリフェノールなどが含まれているため、心血管系の保護に役立ちます。
ターメリックやシナモンなどのスパイスやハーブには、強力な抗酸化・抗炎症成分が含まれています。
緑茶のカテキン類は、直接的な抗酸化作用やNRF2を活性化させる作用があります。
ダークチョコレート、特にカカオ70%以上のものにはフラバノールが豊富で血管内皮機能の改善に役立つでしょう。
良質な油を選択することも大切です。
エキストラバージンオリーブオイルは、一価不飽和脂肪酸が主体で酸化に強く、抗炎症成分を含んでいます。
アボガドオイルは高い煙点を持つため、加熱調理に非常に適しています。
また、ココナッツオイルも酸化安定性が高いのが特徴です。
一方で、リノール酸の多い油や繰り返し加熱した油、トランス脂肪酸を含む油などは避けるべきでしょう。
他にも、日ごろの生活習慣もとても大切です。
適度な運動は、一時的に活性酸素を上昇させますが長期的には抗酸化防御システムを強化します。
週150分ほどの中強度の有酸素運動が推奨されています。
7〜8時間の質の良い睡眠をとることで、脳のグリンファティックシステムが活性化されて代謝産物の除去が促進されます。
慢性的なストレスは、酸化ストレスを増加させるため、瞑想や深呼吸によるストレスの管理と緩和が効果的です。
腸内細菌叢の多様性の向上は、酸化ストレス軽減にも関連しており、発酵食品と食物繊維の摂取が重要です。
また16時間断食と8時間摂食を組み合わせる時間制限食(1日のうち8時間の間に食事を終わらせ、残りの16時間は食事をしない時間にすること)は、オートファジーという細胞の自己浄化機能を活性化させ酸化ストレスの軽減にも寄与します。
私たちの体は、日常的に多くの活性酸素にさらされていますが、賢い食品選択と生活習慣で参加ストレスを軽減することができます。
特に、砂糖や加工肉、酸化した油の過剰摂取を避けて、抗酸化物質が豊富な食品を積極的に摂取することがとても大切です。
さらに、良質な油や適度な運動、質の良い睡眠によって、この抗酸化システムを強化することが可能になります。
正しい知識を身に付けて、心も体も健やかな若々しい毎日を送りましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
