漢方薬とは? 奥深い東洋医学の世界
こんにちは。
今回は、東洋医学の漢方薬についてお話ししていこうと思います。
みなさんは、料理を作る際に「さしすせそ」という調味料を入れる順番について聞いたことがありますか?
(さ)砂糖
(し)塩
(す)酢
(せ)醤油
(そ)味噌
この順番で調味料を入れていくと、料理の味が最も引き立つと言われている先人の知恵です。
砂糖を最初に入れるのは、砂糖の分子が大きいため、後から入れる塩の影響で溶けにくくなるのを防ぐためです。
逆に酢から先に入れてしまうと、調味料がうまく染み込みにくくなります。
そして、実はこの考え方は今回のテーマである漢方薬にも共通しているのです。
漢方薬の調合も、どの薬草をどの順番で組み合わせるかによって効果は大きく変わってきます。
例えば、葛根湯は風邪のひき始めによく使われる有名な漢方薬ですが、これに含まれる桂枝(けいし)の分量や混ぜる順番を変えると効果が微妙に異なってくるのです。
この緻密な科学と経験によって作られている漢方薬について、みなさんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?
「自然由来だから安心」「副作用がない」「体に優しい」そんな印象を持つ方も多いかもしれません。
一方で、病院で処方される西洋医学の薬については「化学的に作られた薬」「即効性があるが副作用も強い」と思われがちです。
しかし、この捉え方は実は少し間違っています。
漢方薬と西洋医学の薬は、そもそもの発想が全く異なっているからです。
西洋医学の考え方には「ひとつの症状にひとつの薬」が基本にあります。
症状を直接抑える対症療法が治療の中心で、即効性はあるものの効果は一時的になりやすいのが特徴です。
病気の原因よりも、現れた症状を抑えることが主目的であるとも言えます。
例えば、熱が出た時は解熱剤を処方する。
痛みがあれば鎮痛剤を処方する。
血圧が高ければ降圧剤を処方する。
このように、症状ごとに対応する薬を処方するのが西洋医学です。
また、同じ病気であれば、基本的にはどの患者にも同じ薬を同じ量処方するのが一般的です。
ですが、漢方医学では1症状に1薬という考え方ではなく、体質を考慮した上で処方するという考え方がベースにあります。
根本的な体質の改善、いわゆる「未病」を治すことを目指しているからです。
即効性は決して高くはありませんが、体全体のバランスを整えるのが特徴で、局所的な症状だけではなく体全体の状態を診ることを重視しています。
漢方医学では、病気の原因は体のバランスの乱れにあると考えます。
例えば、頭痛一つをとってもその人の体質、冷え性かどうかや疲れやすいかどうかなど、全身状態を考慮することで処方が変わるのが特徴です。
漢方では、患者の体質を「証(しょう)」と呼ばれる概念で分類し、その「証」に基づいて薬を選択します。
「実証」の人は、がっしりした体格やエネルギッシュな性格ですが、高血圧になりやすいため脳梗塞になるリスクが高くなります。
一方で、「虚証」の人は痩せ型でやや疲れやすい体質であるため貧血や冷え性になりやすく、うつ病のリスクが高いという傾向があります。
また、「寒証」の人は、低体温で手足が冷たく、胃腸が弱くて月経不順になりやすいという特徴があります。
「熱証」の人はのぼせやすくて汗をかきやすいため、炎症性疾患や動脈硬化になりやすいとされています。
そして、この「証」に「陰陽」や「気」「血」「水」の概念を加えて、より細かく診断していきます。
例えば、同じ風邪でも寒気を伴う場合は葛根湯を使って体を温めて、発汗を促します。
のどの痛みが強い風邪には、銀翹散(ぎんぎょうさん)を使って炎症を抑えます。
長引く風邪には、小青竜湯を処方することで痰がからむ症状に効果が発揮できます。
このように、漢方は西洋医学とは異なり、同じ病気であっても人によって処方が違うのです。
そして、複数の生薬を組み合わせることでさらに相乗効果が生まれ、調合の順番によっても効果は変わってきます。
漢方は西洋医学の代わりではなく、全く異なる視点で病気と向き合う医学なのです。
自分の体質を知り、漢方薬を正しく理解して活用することで、より健康的な生活を送ることができるでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
