人類史上最も多い感染症とは?①

こんにちは。

今回は、「人類史上最も多い感染症」である歯周病についてお話しします。

そうです、コロナウイルスでも、インフルエンザでも、ペストでもなく実は「歯周病」なのです。

2022年の歯科疾患実態調査によると、日本人の約50%が歯周病に罹患しています。

30歳以上では、約80%が何らかの歯周病を持っていると言われています。

まさに、国民病と呼べるでしょう。

さらに驚くべきことに、歯周病は「心臓病」や「糖尿病」「認知症」などの全身疾患とも深い関連があることが、近年の研究で明らかになっています。

この静かなる国民病について、原因や進行過程について詳しく解説していきます。

では、そもそも歯周病とは何でしょうか?

歯の周りの組織に起こる炎症性疾患の総称のことで、これを歯周病と呼んでいます。

対象となる組織には、「歯肉」「歯根膜」「セメント質」「歯槽骨」があります。

専門的には「歯周疾患」とも呼ばれ、主に細菌感染によって引き起こされています。

歯周病は大きく分けると、2つの段階に分けられます。

第一段階:歯肉炎

歯肉炎とは、歯肉だけが炎症を起こしている初期段階で、こちらは適切なケアによって完全に回復することができます。

第二段階:歯周炎

こちらは、炎症が歯肉の下まで広がり、歯を支える骨までが破壊されている状態です。

ここまでくると完全回復は困難であり、治療の目標は進行を食い止めることになります。

歯周病の主な原因は、歯と歯肉の間に蓄積する歯垢に含まれる細菌です。

歯垢は単なる食べかすではありません。

生きた細菌の集合体であり、時間とともに増殖していきます。

1gの歯垢には、なんと800〜900億個の細菌が存在すると言われています。

これは、人間の腸内細菌の数に匹敵するほどの量です。

歯垢が長期間放置されると歯石になり、歯ブラシでは除去できなくなります。

そして、歯石の表面はざらざらしているため、さらに歯垢が付着しやすくなるという悪循環に陥ります。

歯周病が、どのように進行するかも見ていきましょう。

初期段階の歯肉炎では、歯と歯肉の間に歯垢が蓄積します。

歯肉が赤く腫れ、歯磨き時に出血を起こします。

この段階では、歯肉ポケットは3ミリ以下です。

痛みもほとんどなく、適切なケアを行うことで、完全に回復することが可能です。

中等度の歯周炎になると、炎症が歯肉の下に広がります。

歯肉ポケットが4ミリ以上に深くなり、歯を支える骨が溶け出します。

歯が少しぐらつくこともあります。

重度の歯周炎では、歯肉ポケットがさらに深くなり、6ミリ以上になります。

歯を支える骨が大幅に失われ、歯が明らかにぐらつきます。

最終的には、歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の怖いところは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことです。

痛みなどの明確な症状が現れる頃には、既に重度に進行していることが多いからです。

かつて、歯周病は単に口の中だけの問題と考えられていました。

しかし、近年の研究により、全身の健康との深い関連が明らかになっています。

歯周病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、以下のような全身疾患との関連性が指摘されています。

糖尿病とは、双方向の関係があります。

糖尿病患者は、歯周病のリスクが約3倍高く、歯周病があると血糖値のコントロールが非常に難しくなります。

歯周病の治療によって、血糖値の改善も見られることがあります。

歯周病は、心臓血管疾患とも関係があり、心臓病や脳卒中のリスク因子になり、歯周病による炎症性物質が血管内皮に悪影響を与えます。

研究によれば、歯周病は一般人口の心血管疾患リスクを最大19%、65歳以上であれば最大44%上昇させる可能性があります。

その他にも、早産・低体重児出産、呼吸器疾患、関節リウマチ、アルツハイマー型認知症との関連も指摘されています。

歯周病が全身疾患に影響するメカニズムについては、主に3つが考えられています。

まずは、細菌による直接的な影響です。

炎症によって傷ついた歯肉の血管から、口腔内の細菌が直接血流に入り込み、遠隔臓器に到達して悪影響を及ぼします。

次は、炎症性物質の全身循環です。

歯周組織の慢性炎症によって産生されるサイトカインなどの炎症性物質が血流に入り、全身の炎症を悪化させます。

最後に、免疫応答の活性化です。

口腔内の病原体に対する過剰な免疫応答が、全身の免疫系のバランスを崩します。

これらのメカニズムから、歯周病ケアが単に口腔や歯の健康だけでなく、全身の健康維持にも重要であることがわかります。

歯周病のリスク要因には、局所的要因と全身的要因に分けられるでしょう。

局所的リスク要因には、次のようなものがあります。

「不十分な口腔清掃」では、歯磨きが不十分だったり歯間部の清掃ができていないことで歯垢が蓄積します。

「歯ぎしりや食いしばり」では、過度な力が歯周組織にダメージを与えて歯周病を進行させます。

また、「不適合な修復物」によって、合わない詰め物や被せものが歯垢の蓄積を促進します。

「口呼吸」の習慣があると、口腔内が乾燥し唾液による自浄作用が低下します。

「歯並び」の問題は、歯が重なっていると効果的な清掃が難しくなるというものです。

また、全身的リスク要因も重要です。

「喫煙」は、最大の環境的リスク因子で、喫煙者は非喫煙者に比べて、約3倍歯周病リスクが高まると言われています。

「糖尿病」では、血糖コントロールが悪いと歯周病のリスクが上昇します。

また、「ストレス」は免疫機能に影響して、歯周病への抵抗力を弱体化させます。

「栄養不足」特にタンパク質やビタミンCの不足は、歯周組織の健康に悪影響を与えます。

「加齢」により、高齢になるほど歯周病の有病率と重症度が増加します。

「遺伝的要因」としては、家族に重度の歯周病患者がいる場合はリスクが高まる傾向があります。

これらのリスク要因を認識して、可能な限り対処していくことが歯周病予防の第一歩になるでしょう。

歯周病は、日本人の半分が罹患している国民病です。

単なる口の病気ではなく、心臓病や糖尿病などの全身の健康にも深く関わっています。

口腔内の細菌が血流に入ることで、全身疾患のリスクを高めることも明らかになっています。

初期段階では、自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに重症になる場合が多いです。

喫煙や糖尿病、ストレスなどの要因が歯周病のリスクを高めるため、これらの要因を理解して対策をとっていくことが予防につながっていくでしょう。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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