心と体を変えるために呼吸を変えるべき理由
こんにちは。
今回は、少し趣向を変えて「呼吸法」についてお話ししていきます。
「睡眠」「免疫」「消化」「集中力」など、私たちの健康を根底で支えるこれらの働きを整えているのが「自律神経」です。
そして、その自律神経の働きを自分の意思でコントロールできる唯一の方法が呼吸です。
呼吸法とは、健康の土台を自分で整えるための技術なのです。
例えば「大事なプレゼンの前」や「試験の直前」「初対面の人と会う時」など、「深呼吸をして落ち着いて!」と言われた経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
実際に深く息を深く吸って、ゆっくり吐いてみると心臓のドキドキがおさまり、頭もクリアになります。
なぜ、たった数回の呼吸で心と体はここまで変わるのでしょう?
心臓の拍動や胃腸の動き、体温の調節など、自分の意思でコントロールできないこれらの働きのことを「不随意運動」と呼びます。
ところが、呼吸だけは違います。
寝ている間は無意識に行われますが、自分で意識的に速くしたり、ゆっくりしたりペースを操作することができます。
この無意識と有意識の二面性があるからこそ、呼吸は自律神経への唯一の「リモコン」と呼ぶことができるのです。
心臓が動く、食べたものが消化される、体温が保たれる、免疫が働く、眠りに落ちる、こうした生命活動を私たちの意識とは無関係に支えているのが自律神経なのです。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。
「交感神経」とは、体を活動モードにする神経であり、緊張する時や興奮している時、ストレスを感じる時に優位になります。
「副交感神経」は、体を休息モードにする神経として、リラックスや回復、消化や吸収、睡眠など体を修復し整えるための、あらゆる機能を担っています。
つまり健康とは、この2つの神経がしなやかに切り替わる状態のことを言います。
しかし、現代人の多くは仕事のプレッシャーやスマートフォンによる刺激、睡眠不足などにより交感神経優位に傾きがちです。
その結果、慢性的な緊張、不眠、消化不良、免疫力の低下などの健康問題を引き起こす傾向があります。
それでは、なぜ呼吸で自律神経を調整できるのでしょうか?
その鍵を握るのが「迷走神経(vagus nerve)」です。
ラテン語で「さまよう」を意味するこの神経は、脳から心臓、肺、胃腸まで全身に張り巡らされている副交感神経の主要な経路を網羅しています。
この迷走神経は、呼吸の際に使う横隔膜の動きに密接に関係しています。
深くゆっくり息を吐くと、横隔膜が上がり、迷走神経が刺激されて副交感神経が活性化します。
つまり、意図的にゆっくり息を吐くことで副交感神経が優位になり、体は回復モードに切り替わるということです。
こうした呼吸の力は、現代になって発見されたものではありません。
古代インドのヨガや、中国の気功、仏教の瞑想など、4000年以上にわたって、世界中の文化の中で活用されてきたものなのです。
そして現在、脳波やホルモン分泌の研究を通じて、古来から伝わる知恵の効果が科学的に裏付けられつつあります。
また、こうした呼吸法の効果は、客観的に図ることもできます。
それが「心拍変動(HRV)」です。
心臓が拍動する間隔は、一拍ごとに微妙に変動します。
HRVが高い状態は、自律神経の柔軟性が高く、ストレスへの適応力があることを示します。
逆に、HRVが低い時は慢性的な緊張のサインを示しています。
特別な道具も、場所も必要ありません。
呼吸のリズムを変えることで、自律神経の柔軟性を高められる、それが呼吸法の最大の利点です。
呼吸を変化させれば、体は応えてくれます。
深くゆっくり吐くだけで、迷走神経が刺激され体は回復モードに切り替わる。
その状態こそが、眠りを深めて、消化を助け、免疫を整え、体を内側から回復させる土台になるのです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

